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Channel: 陽出る処の書紀
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いっしょに死んでくれるのは愛ではない、断じて

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最近、「…ない」で終わるネガティヴな記事が多いです。
今回もその類のお話です。あえて、十月中には出しませんでしたが。

先日、ショッキングな事件がありました。
神奈川県のあるアパート一室から、男1名女8名の惨たらしい遺体が発見されました。容疑者は27歳無職男性。ツイッター上自殺願望の女性をターゲットにして、死に場所を提供するとおびき寄せ、犯行に至った模様。被害者は10代、20代女性、そして男性1名は恋人を探しにきて殺害されました。しかも、この事件はおそらくわずか数箇月のあいだに行われたというもの。

この事件の争点はいろいろあります。加害者が批判されるのはもちろんですが、被害者も「死にたい」という願望を抱いていたということ。身元不明の方がいるので、全員が同じ意思を持っていたのか確証ありません。しかし、被害者と加害者とのあいだに合意形成ができていたとし、かつ、加害者が相模原殺人事件のように精神障害扱いされたりしたら、司法で責任を問えない可能性がありえます。

この事件から導き出されるのは、まずはじめに、SNSでの出会いに対する怖さ。
ネット上で優しい人が、現実にそうだとは限りません。過去にブログを通して親しくなった人は何人もいます。中には会いたいと言われたこともありますが、お断りしています。どんなに趣味や嗜好が似ていても、所詮は違った生き方をする他人なのです。若い人になんども忠告しておきたい。ネット上で親し気に近づいてくる人を信用してはいけません! 私はツイッターどころか、現実にお会いする方が名乗る職業や勤め先も安易に信用しないぐらい疑い深いのですが、自分は慎重だから大丈夫という人ほど、いちど相手を信じてしまうと騙されることが多いんですね。気を付けましょう。

もうひとつは、これはプロの表現者には嫌がられるかもしれませんが。
ネット上もしくは出版物での青少年の精神衛生上よくないものは規制をかけてほしいということ。

私は以前、あるアニメの原作者さんが掲載しているネット上の漫画掲載サイトを覗いていました。そのサイトには、小中学生が大人を殺して解体するというホラー漫画があって、人気があったのか、いつも上位にランクインしているのです。途中から気分が悪くなって読むのをやめましたが。刺激的なものが興味を引くのは当たり前のことですが、それを表現の自由という名のもとに野放しにしておいてよいのか、とこの手の事件が起きるたびに考えたくなります。

このブログで紹介している作品のなかにも、俗にいう十八禁指定に近いものがあります。ツイッターなどで検索すると、「○○が△△を刀で刺したのは美しい」「殺し愛や一緒に死ぬのは尊い」「女の子が女の子を××するのは素敵♪ 私もやってみたい♪」とか、「百合心中最高!」とかいうご意見が稀にあって、ぎょっとするんですよね…。私は過去の記事を読み返さないので、自分も若い頃、それに近いこと書いたのかもしれませんが、もしあっても真に受けないでくださいね、良い子の皆さん。

とくに女の子たちは親和性が高すぎて、相手を同一化してとりこむか、自分がとりこまれたいと思っていますから。その作品を手掛けた制作者の方がたも、まさか、そんなふうに捉えられると考えてもいなかっただろうし。(あくまで一部の)ファンがそんな感想を持っていたら、その作品の続編を手掛けるのも怖いでしょうね。私も二次創作で原作をなぞって、その手の危うい場面をあくまで盛り上がり要素として書くのですが、自分で書いていても気持ち悪いと自認しています(笑)。そして、読み手はきちんと現実と妄想との区別がつける、きちんとした社会人であってほしいと信じています。本に書かれてあることは、ネットで言われたことは、なんでもかんでも実行してもOKじゃないんですよ。その昔、こんにゃくゼリーの間違った食べ方が原因で子どもやお年寄りの死亡が相次いで規制されかけましたけれど、それと同じことが、日本を代表する文化である、アニメ、漫画、ゲームに起こらないとは限らないですよね。

周囲の大人たちが忙しくて道徳的なことをしつけられないうちに、子どもたちはネットを見て、悪感情の情報を大量に浴びてしまう。その弊害なのかもしれませんけれど、いま、ふつうに中高年でもキレやすい人も増えていますし。くだんの事件が掲載された読売新聞の記事の近くには、孤独死する中高年男性の記事が掲載されていました。人間はやはり生涯現役で、なにか社会に居場所がないと行き詰まってしまうんですね。

私も極端に趣味に関する検索はやめて、感情を逆撫でしない、事実だけが乗せられたサイトだけ覗くようにしています。

こころが疲れ切ってしまったときに、ネットで不安を解消するのはやめましょう。そこには、完全な答えはありません。じゅうぶんに睡眠をとって、外へ出て運動して、頭をすっきりさせましょう。夜中にずっと起きているとノイローゼになります。一時的に休むのはいいですが、10年後、20年後にはこの遅れを取り戻してやるくらいの気持ちで生きていきましょう。人生をあきらめてはいけません。あなたが知らない楽しいことは、まだまだ未来にたくさん待っています。

今回の事件発覚のきっかけは、行方不明になった妹を必死に捜索した兄の執念、そしてこの容疑者男性の異常性に気づいて助力した知人女性でした。彼らもまたSNSで知り合ったのです。つまり、むやみに、SNSも批判されるものではない。警察や自殺防止班などは、今後、SNSで危険人物を察知し保護する必要性があるといえます。しかし、こころの弱った人に関わる方も楽ではないんです。日頃から、闇に呑み込まれない様に、ひとりひとりが前向きに人生を歩む努力をするしかないのです。

自分の人生を誰かに楽にしてもらおうと考えるのはやめましょう。
考えるのに疲れたら、無駄な情報はシャットアウトして、休めばいいのです。






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