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Channel: 陽出る処の書紀
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引きこもり地獄から脱け出すために(前)

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今年の五月、六月に中年男性が引き起こした痛ましい事件が相次ぎました。
加害者は引きこもりとされていますが、意外に行動範囲が広く、外出も頻繁でしたし、有職者もいました。実家を出た経験もあり、いわゆる子ども部屋から出てこない、家から出たがらない、ひとに会うのが怖い、という引きこもり像とはやや異なる感じをうけます。そのため、ひと付き合いに傷ついてみずから交流を断った純正引きこもりは人畜無害なので、犯罪者予備軍のように呼ぶのはふさわしくないという意見さえあります。

誰でも進学や就職でのつまずき、家族や仕事、資産の喪失などにより、社会に適応できない状態になることはありえます。本人の意欲減退や能力不足のみならず、震災や豪雨のような予期せぬアクシデントで社会復帰できなくなったケースもありえます。またインターネットのように、在宅しながら世界中の情報が閲覧でき、知的好奇心を満たすこともできる生活が可能になったが故に、外出が億劫になり、対話能力が乏しくなっていくのが現代人の特性でもあります。昔の農村や漁村では、周囲の人が助け合い、道具を貸しあい、人手を補わないと冠婚葬祭も仕事も乗り切れなかったので、あるいは不審者を入れないためにも、機嫌よく挨拶などを欠かさないものでしたが、いまはそれも薄れつつあります。田舎の陰湿な人付き合いを嫌って、ひとが逃げていくからです。

引きこもりというのは、まず親子はじめとした身近な人間関係のズレからはじまって、人間不信になり、ひいては世の中に背を向けていく姿勢のことです。
家に閉じこもっても、他人を攻撃していくパターンと、ひたすら自分をいじめる(セルフネグレクト)パターンとがあります。前者の場合は、家庭内暴力に発展し、あるいは凶悪事件を起こしたりしかねない。後者の場合は、親の死体を放置したり、困窮したり疾病を抱えても行政に相談できないまま孤独死を選んでしまいます。どちらにも共通するのは、自分と周囲とを幸せにする考えを捨ててしまっていることです。

今回の記事は、引きこもり(もしくはそれに近い精神状態)から脱け出す処方箋について、考えてみましょう。

・教師や親、地域住民たちから学んだ古くて陰湿な価値観を壊してみる
古い世代の価値観には従えばいいものもあれば、同時代にそぐわないものもあります。いいものだけとりいれましょう。親や学校、会社以外に人間関係を広げていくか、本で読めば別の世界のものの見方を知ることはできます。親が嫌い、親が悪い、親がじゃまをする、と言い張っているなら、親に経済的に依存せずに、さっさとお金を貯めて家を出ましょう。お金で頼っていないなら、堂々と反論できるはずです。また、上の世代に反発するよりも、どうすればうまく味方につけられるか、可愛がられるか考えた方が得策です。ご年輩者はこちらが敬う態度を見せれば、親切にいろいろ教えてくれるものです。

・生活費の一部でも負担する、社会保険料は自己負担で
同居している場合、生活費のごく一部でも、たとえばインターネットや電話代などの通信費は引きこもり者がかならず使うので絶対に負担させるべきです。健康保険料は会社員(経営者や役員)の親であれば最長75歳になるまでその扶養でいられますが(75歳到達時には後期高齢者医療保険に加入するので、無職の被扶養者は自動的に各都道府県の国民健康保険に加入します。それまでに親が失職した場合も同様)、本人が被保険者でない健康保険証を病院に出すのはかなり恥ずかしいですね。それに、老親が成人した子の国民年金保険料をまで支払うのはおかしい。コスト感覚を身に着けさせ、この社会は連帯で支えあっていることを自覚するためにも社会保険料はかならず自己負担にしましょう。払えないならば、免除手続きは自分でやりましょう。
家にかかる税金なども把握しておいた方がいいです。親が死んだら、いずれ自分がすべて負担せねばならないのですから。

・自己主張、自己決断する習慣をつける
学生時代は成績さえよければ、絵が上手い、スポーツが得意などのなんらかの特技がありさえすれば認めてもらえましたが、大人になったらただ才能があるだけで可愛がってもらえるわけではなく、評価もされにくいものです。若いうちなら失敗も許されますが、中年になるとできてあたりまえのことができないと冷たい目線を浴びます。大事なことを他人任せにしてきたひとは、イザというとき、どうしよう、どうしたらいいのかなで迷うだけ。文句をSNSに書くだけで慰めてもらおうとするだけ。そんな習慣とはおさらばしてください。ほんとうに必要なのは理不尽なことに立ち向かい、みずから危難に対処できる意思と行動力です。自己主張は他人の利益や感情を慮れる言い回しができればベストです。

・異文化に触れる、適切な男女交際を学ぶ
語学を学べとか、海外旅行や留学をしろとか、恋人をつくって遊べ、という意味ではありません。LGBTを非難しているわけでもないです。海外渡航歴があるのに思慮が浅いひとや、異性関係が豊富なのにだらしない人もいます。それは自分の経験値にただ依存しているだけで、大人として相手に配慮して大事にできることと同義ではありません。自分の欲望を満たすためだけの人間関係を築くと、お金や地位がなくなればみんな消えてしまいます。ネット上では世代差や異性に対するパッシングを見かけますが、自分と異なる存在に対する想像力をうしなってしまうのは危険なことです。異性と話す=恋愛するではありませんし、自分と年代、性別、価値観の異なる相手とぶつかっておくのは、今後にじわじわと生きてきます。老齢期の親としか交流しないような生活ぶりだと、世間知らずになって、同世代と対等な付き合いができなくなりますし、自分よりも下の世代に配慮ができなくなります。

・規則正しい生活をする
朝起きたら、身体を動かす。布団を干す。部屋を片付ける。洗濯をする。とても簡単な行動ですが、大事なことです。体質的に夜型のひともいるでしょうが、なるべく、早寝早起きを心がけましょう。早朝に起きると、一日の持ち時間が長く感じられ余裕をもって過ごせます。ごみ屋敷とはいかないまでも、部屋にものが積みあがっている状態は、自分の精神状態がかなり危ないと思った方がいいです。

・バランスの良い食事をとる、身ぎれいにする
菓子類、炭酸飲料、過度な飲酒、喫煙は控えましょう。コンビニの買い食いは太るもとです。ご飯がおいしく感じられないときは、たいがい、こころがまいっています。歯が弱くなると、病気になりやすい。入浴をきちんとすると気持ちがさっぱりします。いつもルームウェアばかりで、しまいにホームレスのような生活習慣になると、自分をみじめに感じてしまいます。不要なものは捨て、家具を新しくする、配置を変えるなどして生活をリフレッシュするのもいいです。

引きこもりやメンタル不全から心療内科や精神病院のお世話になるひともいるでしょうが、向精神薬は副作用もあるのでおすすめできません。日本の医療の悪いところですが、薬漬けになるのはよくないのです。そもそも精神障害者という肩書を得ることで安心してしまい、「私は病気なんだから、障害なんだからいたわってね」と依存心が高まることもありえます。2018年4月の障害者雇用促進法改正で精神障害者へも雇用の機会均等・合理的配慮が求められようになりました。障害者として認定されると大企業で再雇用される(法定雇用率が高いため)ものの、職場内での偏見から障害者虐待も報告されています。「普通のことができない」という認識はあってもいいのですが、認知行動療法によって生活改善していくこと、考え方の癖を直すことで人生を立て直していかないと根本的な治療にならないでしょう。心の病気はかならず治るとされていますし、本人もその自覚をもつことです。

★不登校・引きこもりでも生存戦略しませんか★
学校に行きたくない、働きたくない、世の中に出たくないと思っている人に。人生は失敗したことではなく、その挫折からなにかを学んで、いかに立ち上がったかで決まります。 やや、お節介な記事の一覧です。私はこの記事を誰かに上から目線でお説教するためではなく、自身の未来のために書いています。



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