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地方の果てから、地方民が叫ぶ

選挙が近づくと、地方議員は田舎を駆けずりまわる。
しかし、選挙が終われば、地方の声はもう中央には届かない。ユリノミクスだかなんだか知らんが、「都民ファースト」というダサいネーミングの党で圧勝した都議選も、田舎民にとっては正直どうでもいい話題でした。小池さんは自民党の女性議員よりはしっかりしているのですけど…。

選挙が近づくと、地方も都会も、老いも若きも、男も女も自分を利するような政策を望みます。
いまから、都会在住者がお聞きなると怒り狂うような、田舎民のわがままを申し上げますね。

東京への一極集中を防ぐために都内私大定員抑制への賛否が分かれていますけれど、都会に出た地方出身者が子育てし、親を呼び寄せるために、都会の保育施設や介護施設がパンクしているんです。でも、地方在住者から言わせてもらえば、地方の幼稚園は倍率も低いし、介護施設もゆったりしています。子育て世代やリタイヤ世代が空気が悪くて、治安もよろしくない都会にしがみつくよりも、地方に移り住んでももらえるような支援が進めばいいと望みます。

もし、いま補助金漬けで、都会にばかすか私学の幼稚園や介護施設を増設しても、都市圏だっていずれ人口減少期に入りますから、施設がどんどん余ってきます。人口が過密集中しすぎることで、都会のインフラ整備に巨費が投じられる。田舎は都会人に送り出すための食糧生産を支えているのに、その地方が疲弊したら、東京だって生き延びられない。東京のために地方が犠牲になっていいのか。

いまはネット通販でものが買えますから、都会と田舎との物価格差は極端でないように思われます。
なのに、交通網の発達していない田舎では車の維持費が年間数十万もかかります。車すらないと就職活動もできない。会社員の場合標準報酬月額が低いから、将来の年金受給額も減る。お年寄りが多いので、介護保険・国民健康保険料の負担が増しています。地方の産業が活性化しないと、ひとがどんどん逃げていく。

首都機能を分散させるとか、省庁を地方へ移転するとか、商工会が音頭をとっているサテライトオフィスとか、日本のある一部にひとを集中させない政策は実行されています。地方の自治体はアニメの聖地巡礼を起爆剤にして、観光資源にしようとしている。でも、それがマナーの悪い若者や外国人が増えて苦情にもなっているし、一過性にしかすぎないのではないか。

選挙時にもりあがるニュースを見ても、都市圏を基準にした見かたばかりではないか。
そんな感じがするんですよね。議員定数削減というけれど、地方の選挙区が合併続きでもう地方民は選挙に関心を失っているんです。おらが町の代表、という意識がありませんから。

私の同級生でも、国際人をきどって海外留学し、地方活性化に貢献しますといって地元の団体から奨学金を受け取ったのに地元で就職せずに、都会でずっと派遣で働いている人がいます。個人の生き方は自由で、他人が口を挟むものではありません。でも、今の都会に働きに行く人は、かつての農家や零細事業者が季節労働で出稼ぎに出て、家族に仕送りするのとは違います。彼ら、彼女らはうるさい田舎のプレッシャーを避けるために逃散して、都会で最先端の日本人みたいな顔をしているだけです。

カズオ・イシグロとか、イチロー選手とかを馬鹿にしているわけではありません。
才能がある人は、日本というステージ、地方という枠を離れて、どんどん活躍すればいい。彼らは人類共通の人財なのだから。けれど、一部の都会にいる必要もない人が、意地を張って、京都人とか東京人とかになりきって、自分は日本の上位層にいるとうそぶいている現象をみると、この人、大丈夫かなと思ってしまいます。よけいなお世話ですけど。

いま、もう日本全国どこでもコンビニはあるし、スターバックスはあるし、ネットの通販や情報網はある。都会にいたとか、海外経験があるという人に話を聞いても、ネットで探せば出てくるようなありきたりなことか、個々人のどうでもいいプライベートなものばかりで、面白くないです。留学したのに、英語で満足に読み書きできなかったりする。自分はコミックアーティストになるからと都会に出て、親から仕送りもらっていたりする。なのに、お前はいまだに田舎でくすぶっているの、と馬鹿にされる。むかつきませんか? そのえせ都会者よりも、地方の中小事業主は多く納税してふるさとに貢献しているのに。

疲弊するふるさとを見捨てて、都会や海外で気ままに暮らす人は、自分が親や故郷に育ててもらったという自覚に欠けていませんか。地方の中小企業の正社員は、都会の大手企業で派遣や非正規で働く人よりはいっけん待遇は悪く思えるけれど、地方を支える働き手であったという意地があります。

都会で正社員になったり経営者になったり、それなりの地位にいる人は仕方ないけれど、ある年齢までに芽が出ず、ずっと派遣社員や非正規社員のまま都会にいらっしゃる地方出身者は、いい加減、Uターンしてきたらと思います。全国どこに行ってもできる仕事って、いいかえれば、別に誰か特定の人がしなくていいわけでしょ。その仕事で、住んでいる地域に貢献したいと考えないから、共同体意識が湧かず、自分さえ世間に可愛がってもらえばいいという芸能人思考になってしまうのではないでしょうか。

私の住む当地では、地域の担い手は実業高校出身の優秀な人ばかりです。
いま、もうプログラミングやウェブデザインのような高度な職業も、大学出ていなくていい。商業高校の子が食品会社にインターンして企画した商品が売れている。大学出たのに都会でふらふら遊んでいたような私が、身に沁みて実感していることです。

ふるさとの街が死んでいくのに、都会で自分だけ楽しく暮らして何になるのだろう。帰宅しても誰もいないマンションで、好きな仕事だけして、「ありのままの自分」を追求して生きらればいい、ひとり寂しく孤独死してもいいな、と考えてしまう前に、よく考えてほしい。



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