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Channel: 陽出る処の書紀
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二次元キャラの大人化についての暴論

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仮面ライダー、特撮戦隊ものとともに日曜朝のキッズ番組の定番となっているプリキュアシリーズ。その続編が朝日放送ではなくて、なんとNHK Eテレの土曜夕方に放映されているという事実をさきごろキャッチしました。

過去の人気作であったプリキュア5作目のメインヒロインたちが成人した姿を描いたという「キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~」。なぜ知ったかといいましたらば、神無月の巫女のED絵で知られるあの藤井まきさんが第一話の総作監をつとめたと聞いたからです。

ところで、仮面ライダーシリーズももはや十年以上離れた私は、当然ながら、プリキュアも詳しくありません。初代の白と黒のふたりコンビの子しか知らないです。けっこう魔法少女ものなのに、アクロバティックな作画で話題になりましたよね。でも、それも全話通して観たことはないです。ごめんなさい。

魔法使プリキュアとやらが、神無月の巫女に近いとかオマージュだとか、ツイッターで騒がれたときも、名前だけは知っているが状態です。
視聴トライしていませんでした。やはり、女児向けアニメだな、という心のストッパーが働くので。けっこう同年代でもハマっている方は多いと聞きますけども。プリキュアおじさんとかおばさんとか揶揄されたりするけれども、私の界隈ではリアルにお目にかかったことがありません。そもそも一年単位のテレビアニメだと話数がかなり多いので、社会人が追って観るのは不可能に近いでしょう。

で、今回のこのオトナプリキュア。
主人公たちは成人して、当然ながら就職したり、結婚したりで、オトナならではの問題に直面しているみたい。教育テレビなので、SDGsがテーマに盛り込まれてもいるらしい。視聴ターゲットは当時の女の子たち。いまだとアラサーになった世代か。その世代だと、もうちょっとワンランク上な大人向けの漫画とか映画を嗜むものだと思うのですけども。で、仕事が教師とか、医師とか、科学者とか、アスリートとか、作家だとか。歌手とかデザイナーとかケーキ屋さんとか、はたまた専業主婦とか。やはり子どもがなりたがる、甘ったるい分かりやすい職業ばっかりなんですよね。介護士とか建築職人とか農林水産業とか足で稼ぐ営業とか、そんな泥くさい仕事はぜったい夢見たりはしない。世のなかに必要な仕事はたくさんあるのに。だったら、ガンダムみたいな、あきらかにありえない大型ロボットに乗って戦ってるような世界の方がまだいい。

今回の記事は、プリキュアがうんぬんではなくて。
そもそも低年齢だった二次元キャラが大人になって、生なましい現実問題に直面する展開、アリか、ナシか? という点。

「大人化」というのは、そもそも同人分野での用語で、ティーンエイジだったキャラたちをファンアートで成人させて描く試みのことを指すようです。私も中学生ぐらいの頃、孫悟飯がいいお兄さんになって所帯もって子どもがいたらなんて妄想したことがありますが、公式がやってくれましたよね。でも、同人のそれは、成長しているという感じではなくて。ウェブ検索してみたら、とくに女の子、顔はロリ顔なんだけども、首から下がえらく発達してますよ、という感じの絵が多いですね。萌え絵師さんのはとくに。

で、もちろんですね。
公式で主要キャラがストーリー上成人してしまうことは幾たびもありましたよね。
たとえばDRAGON BALLの孫悟空。るろうに剣心の弥彦だって、北海道編ではいい青年に。その昔、北斗の拳でリンが美しく、バットがかっこいい男になったときはそりゃもうびっくりでした。主人公が30代だか、40代だかになって老けていないのに、脇キャラのお子様だけすくすく育ってきたのですから。

このプリキュアでは好評だったようですが。
魔法少女ものではヒロインが大人になったのが不人気だった例もあります。2004年初アニメ化した魔法少女リリカルなのはシリーズは、2006年の第三期アニメでは、いきなり十年後の19歳になり(それでも当時ではまだ成人年齢ではなかったけれど)、しかも部隊率いる管理職ポジションに。しかし、その後のオトナなのはたちが脇役になった第四期は漫画もアニメもかつての爆発的な勢いはなく、むしろ、九歳児の旧作を漫画でリメイクしたり、新作映画化したりというテコ入れようでした。

私はりりなのの入口が第三期のStrikerSからで、いまもこのアニメの時間軸が一番好きなので正直世間の好みとの乖離を感じてとまどってしまいます。ヴィヴィオみたいな幼女は好きだけども、あくまで庇護される対象としての可愛さだし、小学生ぐらいの子が前線に立って戦うというのは少し違和感がありますね、やはり。

私の魔法少女ものの原点は美少女戦士セーラームーンでしたけども。
そもそも魔法少女ものは、夢に憧れ、恋にほのめいてしまう背伸びしたいさかりの女の子たちが、「オトナっぽく」変身して戦うというのが、本来の姿では? セラムンの初期は、ミンキーモモよろしく女性カメラマンだとかバスガールだとかに変身していたものですし。ヒロインが大人になったときのギャップがたまらなく魅力的だったわけですよ。

でもいつのまにか、こういうチーム戦の魔法少女ものとか、アイカツみたいな夢追い系部活動とかのキャラって、すごく見た目カワイイでしょう? 同じJKでも、少女革命ウテナの世界みたいに、色気があって、しっかりしてて、顔が濃ゆい方が私は好きなんですね。

その逆で、公式に主要キャラがロリ・ショタ化してしまうという設定もありますね。
名探偵コナンとか、円盤皇女ワるきゅーレとか。ハイスクール奇面組はギャグの時だけ二頭身だからまだいいとしても。ドラゴンボールも、テレビアニメオリジナルになったとき、孫悟空が十二歳に戻ってしまって孫娘と旅をするといトンデモ設定に呆れて、観なくなかった覚えがあります。トランクスも青年時代はかっこいいのに、ちびの悟天ともども好きになれませんでした。

ここまで書いてきて、自分はじつは極端な幼い子どもが主人公の作品は好きじゃない事実に、いまさらながら気がつきました。別に生身の子どもが嫌いなわけじゃないのです。でも、世界存亡の危機にあるとかいうドラマティックな展開の時に、小学生の子らに託して、背後にいるオトナたちが黙っているていうのは、なんか違うと思うんですよね。少子化の時代にひとりで複数名の老人たちを支えなければならない若者たちの負担を先取りして教えているみたいで。

漫画のリリカルなのはViVidに巻を追うごとについていけなくなったのも、そんな理由なのかもしれません。いくらレアスキル持ちの幼女だからって、大人が手加減しない。まだランドセル背覆っているような子なのに。

成長しないでずっと愛くるしいままでいるって、人間をペットか何かだと思っていて。こどもにとっては罰ゲームなんじゃないでしょうか(酷)。ああ、でも、商業的には需要があるわけですね。

私は二次元キャラに、自分の周囲にはいない、理想のお兄さんお姉さん、上司、先輩、あるいは親のありかたを夢見ていただけなのかもしれません。要するにアダルトチルドレンだったってことで、成人してからはむしろある一点からは成長しきれておらず、お子様のいたずらにも寛容ではない…ということなのかもしれません。

ハガレンみたいなシブいおっさんとか姉御肌が出てくるような作品のほうが、私は胸がときめくのですけどね。要するに枯れ専ってやつでしょうか(謎)そうなると、もう二次元でなくて実写でいいやになりますね。年々自分が老けてくるので、若々しいキャラに、年上の声優さんが往年の青少年キャラに声あてているのを聞くのもしんどいんです。でも、20年ぐらい経ったあのお気に入り作のリメイクから観てみたいという矛盾…。

なぜか、オトナプリキュアのニュースにそんな不穏なことを考えてしまったのでした。
ああ、また休日につまらぬものを書いてしまった…。


(2023/10/08)





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