ゲームに熱中しすぎて生活に悪影響が出ているゲーム依存症(ゲーム障害)は、立派な病気である。世界保健機関(WHO)によって、精神疾患の一つに認定されました。
長時間ゲームで遊ぶこと自体が病気ではなく、また、ゲームによって脳活や認知症予防になる、子どもの知能を高めるという声もあります。
ゲーム依存症とは、
・昼夜逆転、仕事や学校の遅刻や欠席、家族との軋轢
・食事や睡眠などの基本的生活習慣を疎かにする
・1年以上、継続するならば重症が疑われる
とされています。
移動中や休憩時間中も遊べるスマートフォンが普及したことで、オンラインゲーム人口が爆発的に増加したことが原因。時間やお金を投資するほど楽しさにハマり、家庭や学校、仕事よりも、ゲームやオンラインの人間関係を優先させるようになってしまいがちに。
お子さんの病気と思われがちですが、実はサラリーマンや専業主婦(主夫)などものめり込んでしまい、家庭崩壊や離婚沙汰になるケースまで。先日、文部科学省の職員が某国立大学の積立金を横領し、課金ゲーム等の費用に充てていたことが発覚、懲戒免職されましたよね。飲酒やギャンブルのみならず、成熟しているはずの大人でもゲームによって理性を失って、人生を損なってしまうのです。40歳以上の中高年の引きこもり調査に政府が乗り出すそうですが、離職してからゲーム漬けになってしまったという人も。その背景には、一度、進学や就職でつまづくとやり直しができづらい日本社会があります。
ゲーム業界は急成長し、野球球団を買い上げるまでになっています。
日本産ゲームを世界各国の風土にローカライズして売りあげる企業もあって、日本発祥のゲームのシェアは世界市場の2割を占める。日本の文化産業が経済効果を上げるのは喜ばしいが、しかし、それは正しい発展なのでしょうか。数年前、釣りで獲物をゲットする課金ゲームのテレビCMで、女性が女友だちの彼氏も釣れるかも、といじわるな笑みを洩らすものがあって、ぞっとしたことがあります。ガチャと呼ばれる人気アニメのキャラを引き当てるタイプの課金ゲームもあって、それは魅力的なキャラクターや声優さんの演技もあってか、世界中で大人気なのですが、日本国民だけが異常な金額を投資しているとか。その割に、キャラクターやアニメの制作者にはお金が回っていなかったりするそうで。
ゲームだけに限りませんが、お酒、ギャンブル、アイドル文化そしてネットなど、なんらかの依存が長く続くと、脳機能が著しく低下し、感情がコントロールできづらくなります。
座りっぱなし、寝転がりのままで、運動機能が衰え、骨がもろくなりやすい。ギャンブルでも初回でうっかり大勝ちしてしまうとのめり込んでしまいやすい。人間は防衛本能で、過去の勝ったことがある記憶ばかりを残して固執してしまうからです。労せずして得たものは、すぐに失いやすいことを骨身にしみて知っていれば、一時的な快楽に溺れることも避けられるのかもしれません。
仕事や生活上の行き詰まりを感じると、ついつい、ネットで「回答」を探してみたくなるのですが、検索することでは何も得られない。他人と自分との違いで分断し、優劣をつけて、ひとときの充足感を得るだけの連続です。アイドルや声優、アニメキャラに懸想してみたところで、彼ら彼女たちが生涯苦楽を共にしてくれる伴侶になってくれるわけでもありませんし。
生活に支障をきたすほどネットやゲームにのめり込んだ状態を、俗に廃人と呼びます。
誰しも若い頃の過ちや停滞はあるものですが、それが長引いて重症化すると、ライフプランが狂ってしまいます。中年期になってやっと人生を立て直してパートナーが欲しい、人並みの暮らしがしたいと思っても手遅れになってしまう恐れがあります。その将来への不安から逃れるため、あるいは、取り戻そうとして賭けにつぎ込んだり、遊びに入り浸ってしまいがちに。努力しても結果が出ないときは、いちど立ち止まって自分を見つめなおしてみたいものです。
虚業と呼ばれる、アニメやゲーム、アイドルなどのサブカルチャーは人に夢を与える反面、現実を麻痺させてもきたことは否めない事実です。
この業界を潰せとか、縮小させようとは思いません。飲酒運転やアルコール依存症が問題だからといって、酒造メーカーを廃業させていいわけでもないのと同じで。ただ、巨額の利益の一部でも、その産業によって心身疲弊してしまった人々の社会復帰や健康増進のために使われないものかと思いますけどね。カジノ法成立前後で、やっとこさギャンブル依存症対策が論議に上ってきましたけど、市町村の経済復興という美名に隠れて、国民がギャンブル漬け借金漬けになったら、この国はおしまいです。
依存症は本人が気づきにくく、家族や友人など周囲が疑ってわかるもの。
異変に気付いたら、いずれ飽きるからと放置せずに、やり過ぎじゃないの? 仕事は、勉強はどうするの? とやんわりと声掛けしておくことが大切です。家庭内で全員がそれぞれのスマホを覗き込んでいて誰もしゃべらないという光景が多いらしく、不気味ですね。新聞の投書で、電車内で座席を譲るのはいまや外国人で、日本人はお年寄りや妊婦などの弱者を無視して、スマホばかり覗いているという指摘もあります。家庭内の問題を共有するために積極的に話し合いの時間をとり、部活や習い事、軽い運動などの日常を充実させる習慣づけを行うのがよいそうです。
少子化の原因は、アニメやゲーム、ネットポルノだと思われるので、やはりそこに流れるマネーに課税をして、子育て支援や社会保障対策費に充てたほうがよろしいかと思います。わりと不謹慎な内容があるアニメ(爆)などを紹介してきた自分からすれば、アニメや漫画の利益の一部は、売らんかなのメディアにゆがんだかたちで悪利用されずに、社会をよくする方向で使われてほしいですね。アニメやゲームの製作者の方も、ご自分の創作物が誰かの人生を損なっていると言われたら不本意でしょうし。それを楽しむ側が節度をもっていないと誤解されかねない。かねてから偏見まみれのアニメのレヴューを重ねてきた私は、そう思うのです。