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Channel: 陽出る処の書紀
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秋の散歩道

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穏やかな気持ちで日記を書くのは、ひさしぶりな気がします。
夏ごろから秋への重大な予定に向かって準備をしはじめていたのですが、計画通りにうまく行かないことがあって。世事も騒がしかったですよね。疲れている時に、うんざりするようなニュースを見聞きすると、どうしても気持ちが塞がってしまいますよね。

とはいいつつ、昨日にはパリで911に匹敵する同時テロがあったり。日本も東京五輪を控えていますから心配ですね。

さて秋も残すところ半月、そして今年もすでに一箇月半ばかり。
恩師のお招きがあって展示会へと足を運びました。展示といいましても、集団の野外展示なのですが。最近まともにミュージアムには出かけていないので、ひさびさの芸術鑑賞タイムとなります。

文化に親しむ、教養になごむ、という態度を生きるうえで棄ててからすでに何年になったのか。恩師にあったのもおそらくかなり前。ご壮健でしたが、かなりお年を召されたようでした。そして、最近、ご老体のやんちゃぶりが報道されて久しいですが、恩師は相変わらずの好々爺とされた方で安堵。

おのおのの作品を観て回り、解説を耳に挟んでは質問をし…というひさびさの師弟の問答をしたあとに、意外なことに、あれほど忘れようと思っていた昔の感慨が、いまだなお、鮮明に思い出されることに自分でも驚くばかりです。この作品のこの論点を解くためには、とある英文の論文などについて語り、そしてまた恩師は造形作家としての実地から、素人目には分からないような観点を示して下さったわけです。

最近はSNSで作品発表や展示の告知をされる表現者の方も増えていますから、受容者と接触しやすい環境にあります。とはいえ、作品を前にして、その作者に直に感じたこと思ったことを投げかける機会というのは、そうそうないものです。

その日、すらすらと自分の口をついて出た作品への想いや情熱。
すべて私が10代、20代のうちに温めて、そして置き去りにしてきたものです。日常の忙しなさにまぎれ、経済や法律や生計の作法を優先させていくうちに、あるいはもっと通俗的な趣味へと流れてしまったせいで、すっかり廃れていた興味でした。

帰宅してから、まだ棄てずにとっておいた芸術書や研究論文なんぞを読み返してみたりして、足をいくら棒にして惜しくないくらいに、ひとつでも多くの作品に出会いたいと、バスの通っていないような山上まで歩いていった日々を思い出します。

昔、楽しかったこと、打ち込んだことをたまには思い出すのも悪くないですね。
そして、もう、これまで人生上、お世話になった方にお会いできる時間も限られているのではないか、などととふと考えてしまうようになりました。






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