2001年のアメリカ・フランス合作映画「マルホランド・ドライブ」(原題 : Mulholland Drive)は、なんとも不可思議な作品でした。地に足のついた種明かしのあるミステリーなのか、それとも幻想的なファンタジーなのか、映画女優の銀幕暴露ストーリーなのか、玉突き事故のように一見独立した個々人がからみあっていく群像劇なのか、皆目判別しがたい。一度視聴しただけでは、解釈に苦しむ難作です。激情的なBGMをほとんど添えずに淡々と進行していくドキュメンタリータッチのフィルムワークが、なおさら奇妙な趣きを増幅させているのでしょう。
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交通事故を起こした車から逃げ出したある女が、傷を負いながらも、サンセット大通りの高級住宅地にたどりつく。身を潜めたアパートの一室で、引っ越してきた女優の卵ベティと鉢合わせ。女は記憶喪失で、リタと名乗るだけ。
気の毒なリタを想い住まわせることにしたベティ・エルムスは、身元探しを手伝うことに。リタが唯一覚えている「マルホランド・ドライブ」というキーワードを元に、ふたりは事故が起きた現場を訪ねるが…。
このヒロインふたりを中心にした物語ではなく、序盤から、喫茶店で不振な尋問をうける青年や、仲間割れで連続殺人を犯してしまうごろつき男、自己主張が激しくて仕事を干されそうになる若手映画監督アダムのサイドストーリーが挿入されます。
リタが車内で命を狙われそうになった冒頭や、大金入りのバッグや青い鍵という持ち物などを考え合わせれば、そこになんらかの犯罪が絡んでいるのが予想されてくるもの。はたしてリタは何者なのか?
自分探しの旅のなかで、リタはある人名を口にし、その当人を訪ねた先でおぞましい発見をしてしまう。すっかり怯えきったリタを慰めるうちに、ふたりには愛情がめばえてしまいます。
その後がなんとも急展開。リタの失った記憶の再生とみていいのか、それとも、前半までのキャストを流用した別のおとぎ話なのか、虚と実の見分けがつきがたい。そして、さりげなくマイノリティな女性向けかと思っていたら裏切られてしまう結末です。
主演は、「キング・コング」(2005)主演のナオミ・ワッツとローラ・エレナ・ハリング。
アン・ミラー演じるアパートの大家さんと、カウボーイのおじさんは端役で大きな働きをするのではないのですが、なぜか異様にインパクトがありました。
監督・脚本は、テレビドラマ「ツイン・ピークス」で話題になった気鋭の映像作家デヴィッド・リンチ。
第54回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。
「エレファント・マン」はすなおに感動できたのですが、こちらはなかなか、読み解くのに骨がいりますね。実際、いろんな解釈が出回っているようで、さらには、混乱を招くような監督からのヒントもあるそうです。しかし、正直、あまり繰り返し観たくはないかも。
映画界の裏事情を暴いた「サンセット大通り」にあやかっているとのことですが、後半部は「イブの総て」を思わせますね。女優って恐い…。
(2010年8月3日)
マルホランド・ドライブ(2001) - goo 映画
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交通事故を起こした車から逃げ出したある女が、傷を負いながらも、サンセット大通りの高級住宅地にたどりつく。身を潜めたアパートの一室で、引っ越してきた女優の卵ベティと鉢合わせ。女は記憶喪失で、リタと名乗るだけ。
気の毒なリタを想い住まわせることにしたベティ・エルムスは、身元探しを手伝うことに。リタが唯一覚えている「マルホランド・ドライブ」というキーワードを元に、ふたりは事故が起きた現場を訪ねるが…。
このヒロインふたりを中心にした物語ではなく、序盤から、喫茶店で不振な尋問をうける青年や、仲間割れで連続殺人を犯してしまうごろつき男、自己主張が激しくて仕事を干されそうになる若手映画監督アダムのサイドストーリーが挿入されます。
リタが車内で命を狙われそうになった冒頭や、大金入りのバッグや青い鍵という持ち物などを考え合わせれば、そこになんらかの犯罪が絡んでいるのが予想されてくるもの。はたしてリタは何者なのか?
自分探しの旅のなかで、リタはある人名を口にし、その当人を訪ねた先でおぞましい発見をしてしまう。すっかり怯えきったリタを慰めるうちに、ふたりには愛情がめばえてしまいます。
その後がなんとも急展開。リタの失った記憶の再生とみていいのか、それとも、前半までのキャストを流用した別のおとぎ話なのか、虚と実の見分けがつきがたい。そして、さりげなくマイノリティな女性向けかと思っていたら裏切られてしまう結末です。
主演は、「キング・コング」(2005)主演のナオミ・ワッツとローラ・エレナ・ハリング。
アン・ミラー演じるアパートの大家さんと、カウボーイのおじさんは端役で大きな働きをするのではないのですが、なぜか異様にインパクトがありました。
監督・脚本は、テレビドラマ「ツイン・ピークス」で話題になった気鋭の映像作家デヴィッド・リンチ。
第54回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。
「エレファント・マン」はすなおに感動できたのですが、こちらはなかなか、読み解くのに骨がいりますね。実際、いろんな解釈が出回っているようで、さらには、混乱を招くような監督からのヒントもあるそうです。しかし、正直、あまり繰り返し観たくはないかも。
映画界の裏事情を暴いた「サンセット大通り」にあやかっているとのことですが、後半部は「イブの総て」を思わせますね。女優って恐い…。
(2010年8月3日)
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