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Channel: 陽出る処の書紀
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情報の収集と整理に時間をかけすぎない

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数年前のことですが、Yahoo!のブックマークが突然終了したことがありました。
いろいろなサイトをお気に入り登録しておけて便利だったのに、とがっかり。
そのいっぽうで、どこかホッとした自分もいたのです。

インターネット上で、スマホの画面を指先ひとつで、何でも探し出せる時代。
好奇心旺盛な人間はついつい、よけいな知識まで増やそうとしてしまいます。博学であることは話題がひろがっていいことだけれども、たいがい賢しらだった人間は知識を披露しようとして敬遠されたり、足をすくわれたりもしてしまいがちですね。私がよくやらかす失敗です。

ネットのみならず、書店にいって書棚の並びからトレンドを探ったり。
図書館の書架でブラウジングしながら、面白そうな本を借りていく。けっきょく買ったり借りたりした本は読まずじまい。あるいは、細かくノートにまとめたり、メモを作成したりはするけれども、時間をかけたわりには活用できていないことも多々あります。

街場でうっかり拾ってくるミニコミ紙や、パンフレット、雑誌、新聞も同様。
活字中毒者だからついつい引き寄せられてしまう、装丁がいいからお持ちかえりしたくなるような紙類。気が付けば、部屋の中が紙だらけになります。

新聞も読売新聞購読時は、なんでもかんでもジャンル問わずに切り抜きスクラップしていましたが。
今は日経新聞を週イチでコンビニ買いするようになって、特定の業務に役立ちそうなトピックのみを保管するようにしています。そして情報のバリューが落ちたらすぐに処分するようにしています。法改正されたらすぐに要らなくなりますものね。

その昔、学生時代、私はとくに英文の資料はなんでもかんでもコピーして残してしまうほうでした。
コピーすれば書き込めるし、手の脂で原書を汚すこともないからです。そのコピーしたものを張り合わせて、一冊の著作物まるまる再現したこともありました。アンリ・フォシヨンの名著『形の生命』や、ケネス・クラークの『ザ・ヌード』といった美学上の古典をコピーでまるごと残しましたが、さて20年近く経った今ですら、完読することかないません。

論文書きは参考資料ばかり集めがち。
なにかテーマがあると、先行文献をあたるのはあたりまえなのですが、この収集と整理に時間をかけすぎて、肝心かなめの論文執筆が進まないことはよくありました。完璧主義者に多い罠です。

紙だけではなく、スクリーンショットにしたり、PDF化してデータ保存するのも同じ。
PCのなかで不要なファイルやフォルダだらけになり、使わない文書データがたまってしまうのです。あとから削除しようとしても膨大な時間がかかってしまいます。

ビジネスの世界では、これはあきらかに仕事ができない人間のやり口です。
締切があるならば前倒しで、情報集めはよいが、完璧に集まらなくとも見切り発車。提出書類は100%完成をめざさずに途中段階で、上司の指示を仰ぎ、適宜柔軟に修正できるようにせねばなりません。

私は暇な時間にあちこちネットサーフィンしては、興味の湧く記事やらサイトやらのURLをコレクションしていましたが、こういった作業をもうやめました。
スマホをブックマークするのも限界があるので、数を決めて、一箇月間再読しなかったお気に入りは解除することにしています。

これはRSSやら、ツイッターなどのSNSのフォローも同じで。
集めれば集める程、情報を管理できなくなり、必要な情報がすぐに見つかりづらくなります。けっきょく、ツイッターのアカウントを何度もつぶしたくなったりしたもので、最後には謎の理由で凍結されたので、むしろ安堵してしまいました。

拙ブログの名前は「陽出る処の書紀」…という名の通り。
時事、私事ふくめ、関心の赴くまま、いろいろなことを書き留めておく場所です。暇さえあれば、思いつくまま、感じるままに記事ネタを書き続け、それにタイトルをつけ、リンクもつけてカテゴライズしていくという作業も、どこかしら無駄な手間をかけすぎている気がしないでもないのです。

情報過多の時代には、素早く多くのニュースに触れるのもよいですが、いかに不要なニュースを自分の元へ仕入れなくするかも重要になります。
感情を逆立ててしまうような事件や事故などのニュースは、概要だけ知っても、深入りせずに、すぐに忘れるようにしています。それについて長々と私見を述べたブログ記事を書き連ねてしまいたなるからです。読んでいる方も言葉がとげとげしいと気分が悪いですし、実は、書いた本人もその記事タイトルを見ただけで仕事前の気分がくさるので目にいれたくないのです。なので、下書きしたけれども、ブログ公開してすらいない記事ネタもたくさんあります。

ブログ記事は旬の、話題性のあることに絡めた方がアクセス数はあがるもの。
しかし、だからといって、自分がさして興味もないのにむりに流行りのテーマなどについて書いても一時的な即効性はあっても、すぐ書くのに飽きてしまいます。なので、こういった執筆スタイルはやめ、ほんとうに自分が書きたいことだけを残し、気ままに発表するようにしています。

以前は読書家さんアカウントのおススメ本を次々に読んでいましたが、今はあまり気にせず、一週間で読めそうな分量だけの本を厳選して手持ちにするようにしています。

けっきょく、あれやこれやと、検索して情報を集めたがるのは、今現在の生き方に不満や不安がありすぎて、自分を安心させてくれるような言葉を欲してしまうからなのです。しかし、そんなニュースばかりを探すよりも体を動かしてみたり、やるべき仕事をさっさと片付けたり、料理や掃除をして生活スペースを整えたり、おいしいものをしっかり食べて息抜きしたりのほうが、よほどこころの健康につながるのですね。

(2022/07/18)





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