7月18日、京都府にある有名アニメスタジオが放火され、スタッフ34名が死亡した事件。
放火事件としては平成以後最悪の規模で、オウム真理教の地下鉄テロ事件以上の凄まじさがあります。この京都アニメーション社は、聖地巡礼ブームとなるアニメをかずかず制作し、地方活性化に貢献するなどした、アニメ界のパイオニア企業であったようです。
この日、ちょうど工事業者との打ち合わせや行政機関との協議で忙しく、私はこのニュースを翌日の新聞朝刊ではじめて知りました。
容疑者の41歳男は「小説を盗作された」ことを恨んでいるようですが。
この動機もよくわかりません。アニメの二次創作小説(それに近いオリジナルの妄想小説)でも書いていたひとなのでしょうか? この容疑者には非正規雇用での職歴しかなく、2012年にはコンビニ強盗で実刑判決をうけ、出所後は住民と騒音トラブルを起こすなど危険視されていたようです。そして、やはりゲーム中毒者だったようですね。精神疾患で訪問看護をうけたこともあり、生活保護者だったようです。40歳超えたらそろそろ人生の方向性を見据えないといけないはずですが…。
アニメ制作会社には数年前から殺害予告メールが届き、不審者の侵入を許したセキュリティチェックの甘さや、建物の構造上の不備なども指摘されています。爆発力の大きいガソリンの購入時に、購入者を特定する規制も検討されています。そういえば、数年前に年金が少ないことを恨んで新幹線内で灯油をまいて死傷させた老人もいましたよね…。
私は隠れアニメヲタクであって、成人後は現実上で交流を一切しませんでした。
アニメや漫画に入れ込んでいる者が、ましてや鬱々とした小説や絵などの創作をして気晴らしをしている人間が、どんな心境なのかを、自身で気持ち悪いほど理解しているからです。いまの二次創作物更新も過去の在庫のみですし、家の維持費がかかるのでヲタク活動にお金を注いではいません。
それにしても、この容疑者はなぜ盗作されたと騒いだのでしょうか。
むろん剽窃はよくないことで、近年では女性作家による東日本大震災をテーマにした芥川賞候補作の表現が問題視されたばかりです。しかし、たいがい素人が思いつく程度のアイデアはプロが当然に考えるものですし。そもそも、この男がどの程度の小説家なのかすら不明です。ネット上で発表していた程度の似非もの書きか、同人誌発行者か、小説の応募者(いわゆるワナビ)だったのか、ライトノベルでデビューしたけど売れなかったクチか。売れない作家が生活保護で暮らすもよく聞く話ですが、食えないのならあきらめて別の仕事に就いてほしいです。そもそも、アイドルも芸人も、この手の人気商売はミズモノですから、一握りのひとしか成功しないですし、社会人としてモラルがない人物が多いように見受けられます。まともに会社員として働いたり、起業したりもできないので、てっとり早く承認欲求が満たせる作家やクリエイター名乗りをして、自己意識を高めているだけなのでしょう。自己万能感を高めたまま、周囲とのギャップがある、その危険性に早く気づいたほうがいいですね。
そもそもリスクの高い作家業で大成できるひとは、感性が高いのはもちろん、自己管理能力や対人折衝能力がすぐれていますから、たとえ作家にならずとも、会社員として雇われていても起業しても、それなりに仕事がデキるひとが多いのではないでしょうか。楽して稼ぎたいから、有名になりたいから作家になりたいという考えのひとで、プロとして食えている人いるのでしょうか。小説家は初期投資がすくなくて参入できる職種で、いまや小学生でもデビューできてしまうほどです。まともに働きたくない人が安易にめざすのが、小説家や漫画家、イラストレイターでしょう。そのなかで価値のある、読者が買ってもいい仕事をしているのはどれくらいいるのでしょうか。
地方活性化の拠点となっているアニメ制作会社はいくつかあります。
今回の事件で、数多くの貴重な人材と事業資産が失われました。犠牲者の大半は20代の未来ある女性が多かったとのこと。アニメ業界だからというよりは、テロの犠牲者としては未曽有の被害で、世界中から反響があります。アニメのイベントなどで声優に嫌がらせをしたり、アニメ企画会社が不当なチケット販売をしてトラブルになったりのケースもあります。いちどきに話題になり、カネとヒトがすぐ集まってくる業界は、闇も引き寄せるということでしょう。握手会でアイドルが被害に遭うのと同じで。
極端な考えかもしれませんが。
アニメやゲームなどのサブカルチャーは、自分の感情をコントロールできない人、冷静に物事に対処できず、刹那的な衝動に流れてしまうひとにとっては麻薬になるのではないか、という考えもないではありません。「魔法少女になりたい」「転生して異世界でヒーローになりたい」などとつぶやく中年だとかの姿をみると、日本ももはや末期だと思いたくなります。
それと精神疾患者で、前科持ち人間に対する更生については、もっと真剣に対応を考えていかないといけないですね。障害者雇用に対する偏見も生まれてしまいますし、精神障害を理由にして責任能力を問われず、減刑されるのも被害者・遺族としてはやりきれません。なんら罪もない市民が巻き込まれるのはごめんこうむりたいものです。
自分が不幸だから、誰にも優しくしてもらえないから、他人を傷つけていい、奪っていい、死なせてもいいという短絡的な考えが、私には理解できません。
アニメの制作者たちも、世の中がよくなってほしいという想いで手掛けているひともいます。なぜ、すばらしい作品をつくった側が命うばわれねばならないのか。創作物のファンはお金を貢げばなにをしても言っても許されるというものではなく、その作品からまちがったものを学ばないようにしたいものです。
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。