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Channel: 陽出る処の書紀
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書籍『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(前)

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「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである(…)
人が雇われるのは、強みのゆえであり、能力のゆえである。
組織の目的は人の強みを生産に結びつけ、
人の好みを中和することにある」
──ドラッカー著『マネジメント』



夏休みまっさかりですね。
お休みの無い方もいらっしゃるかもしれませんけれど、たまには脳を休めましょう。ストレスで熱っぽい精神を冷やすには、読書がいちばん。大人にだって、夏休みの課題図書があってもいいのです。ということで、選んだのがこの一冊。ウォーミングアップとして、あっさり読めるものを。夏と言えば、高校野球。それに関連したものということで。賛否両論ありますが、それだけ期待が大きかったでしょう。余談ですが、女性ライターさんだと誤解していた方も多かったようですね(笑)。

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もういまさらな感がしますね。
2009年発売のベストセラー本。じつは発売当時、本屋で手にとったことがあります。オタク(私もそうですが(笑))に媚びたようなライトノベル風の表紙と、あまり表現力の巧みでない小説であったことに、がっかりさせられて早々と本棚に戻してしまったのです。今回あらためて読んでみましたが、納得すること多々あり。素直に向き合わなかったことに後悔しています。しかし、あのとき、読んだとしても、いま現在のこの手応えは感じなかったでしょうね。

この本の中身は、タイトルそのまんまです。
都立高校の野球部の弱小チームを甲子園へ行かせるために、女子マネジャーがドラッカーの著作を読んで、実践していくという筋書き。内容としてはたしかに王道的といえば王道的。ベタで安っぽい感動と言えばそれまで。物語に波はありますが、手練手管の読み手書き手からすれば、いささか甘いのかもしれません。また、学術的価値としても、ドラッカーの引用や解釈を誤っているかもしれず、マネジメント学通には噴飯ものなのかもしれません。

たとえ、そうであっても、私にはこの本は出会ってよかった、と思える一冊でした。読んですぐ読みなおしたくなるほど、というのではありませんが。ヒロインの名前「みなみ」からして、往年の人気高校野球アニメを想起される方もいるでしょうが、とりあえず、双子は出てきません(笑)。

レヴュー後半はその内容について掘りさげます。


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