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Channel: 陽出る処の書紀
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ドラマ「精霊の守り人」2ndシーズン最終回、その前に

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ドラマ「精霊の守り人」2ndシーズンも今夜が最終回です。
私、これ、今回まったくリアルタイムで視聴できなかったんですよね。今夜のは観られそうですが。で、NHKサイトの予告編動画などを漁りつつ、出演陣の作りこみすぎた造形に若干驚きつつも(笑)、やはり興味ひかれて手にしたのは買いためていた、新潮文庫版の原作小説。

第三作「夢の守り人」までで終わっていたのですが、第四作「虚空の旅人」から一挙に第六作の「蒼路の旅人」まで読了。今回のドラマでは、バルサが主役の「守り人」編とチャグム皇子が大活躍の「旅人」編とがミックスされているかたちになっています。

このチャグム主人公の番外編。サイドストーリーかと侮っていたら、そうではない。
少年から青年へと差し掛からんとするチャグムが、他国の陰謀に関わって暗躍したり、はては複数の国が絡んだ外交問題で命を張るという壮大な物語。バルサのようにアグレッシブな武闘劇を繰り広げるわけでも、奇奇怪怪なファンタジー劇でもない。それはなまぐさい政治のお話になんですね。「守り人」シリーズがただの児童ファンタジーにあらず、とほめそやされる原因はここにあると言っても過言ではない。

現在ドラマシリーズ第二章「悲しき破壊神」の原案は、第五作「神の守り人」。
バルサとタンダが幼い兄妹を人買いから救うところからはじまります。妹アスラは破滅的な殺人能力をもつ神を体内に宿した忌み子として追っ手に追われ、バルサとの逃亡劇がはじまる。…と、これはまるきり第一作と構図が同じですね。違うのは、その兄妹の住む王国の支配者がまだ冷血漢ではなかったこと。そして、「神の守り人」の原作ラスト。けっしてハッピーエンド都はいいがたいのでして、このあたり、ドラマでどう描くのでしょうね。

このシリーズ、地図がひろがっていくように、複数の土地、民族が絡み合う多層的な世界観。チャグムが体験した精霊の卵のような体験が、各地にも名を変えてあったり、国を覆すような陰謀が繰り返されたり。そのなかでも胸を打つのは、当初は敵同士であった者同士が手をとりあって野望を打ち砕くために戦う姿ですね。

個人的には今回のドラマ悪くはないのだけどビジュアルのやり過ぎ感(大河ドラマ「平清盛」に負けないようなリアリティなんだけど、そこまでやるかという…)が目立つので、かつてのNHKアニメぐらいの造形で第二作以降をアニメ化してくれないかな、と思ってはいます。実写ドラマだったら、「獣の奏者」や「鹿の王」のほうが観てみたかったりですね。

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