さきほど、「神無月の巫女」はれっきとしたロボットアニメと称しました。
私が定義したのではなく、そのようにカテゴライズされている(…はずですよね?←なんとなく不安形)のですが、もういちど強調しておきます。しかし、それは、あくまでカッコつきのロボットアニメなのです。ロボットアニメを背景にして並ぶ美少女ふたり。そんな構図を見れば、あなたはそのヒロイン二名がロボットの搭乗者となって果敢に戦うアニメ。疑いもなく、そう思われることでしょう。
しかし、しかし、だがしかし。
おかしなことに、このアニメの特異点はそこには置かれていません。現実に女の子がロボットに乗るアニメというのは、もはや珍しくもなんともないのです。たとえば、有名な「エヴァンゲリヲン」しかり。また「魔法騎士レイアース」しかり。あと、やや古いけれど「トップを狙え」など。「レイアース」は原作が女性漫画家集団CLAMPだけに、魔法少女ものの系譜にロボットを持ちこんだはじめての例かもしれませんね。私が観てないだけで、他にもあるかもしれませんね。あったら、ぜひとも教えていただきたいものです。
厳密に言うと、「神無月の巫女」は、女の子がロボットを操縦するアクションアニメではないのです。最終的にロボットに乗らないわけではないのですが、操縦しているという感じではありません。この作品、あけすけに申せば、「女の子がロボットで戦い勝利するアニメ」ではなく、「女の子がロボットにさんざん振り回されるアニメ」なのですね。(そういえば、魔法少女ものなのに、主人公だけがなかなか変身しないアニメもありましたよね…。本作のヒロインとあるキャラが酷似してるって言われてますけど、そうだろうか…)
くりかえしますが、この女の子が「ロボットに翻弄される」という部分が、かなりのポイントなのです。なにがポイントかと言えば、ロボットが出てくるアニメでありながら、かわいい美少女がロボットに悩まされる、というのが話の軸になってしまっているがために、このアニメは百合のアニメ、恋愛アニメなのだからして、ロボットはお邪魔虫! 恋路を隔てる障害なので要らない! という、たいへんシビアな声が多くなっているところなのです。いやいや、もちろん、ロボットアニメとしてもそこそこ評価はされていて、スーパーロボット大戦なるものに参戦してほしいという声も、いまだなきにしもあらず。そもそも、このアニメの監督さん、および、原作者の漫画家先生がたが往年のロボットアニメに感化された世代らしいので、制作者の趣味がいかんなく発揮されたカテゴリーでもあります。が、しかし。男性ファンなら一挙両得なのですが、女性ファンは見解が分かれてしまうかもしれませんね。はい、正直に申し上げますと、実際問題、私もロボットパートに退屈して、とうしょは思いっきりDVDを高速早送りで観てました(殴)。おそらく、この作品を愛している百合目当てファンの大半はそうだと思われます。だって、ロボットアクションにおける機智とか、戦略とか、駆け引きとか、そういうものはいささかも描かれていないんですもの。ここのロボパートってね、いわば、時代劇のチャンバラシーンみたいなものなんです。天に代わって悪を成敗!の掛け声で、ぜったいに主人公が負けたりなんかしない、あのお約束の。
おそらくアニメ制作にあたっては、このロボットバトルシーンがいちばん技術的に難しく、スタッフにおいてもかなりのこだわりがあったものと見られます。そこを視聴者にきれいにすっ飛ばされたんじゃ、たまらないというものですね。白状します、私はあきらかに製作陣に不義理なファンであること間違いなしでしょう。
「神無月の巫女」という作品は、このように男女の求めるロマンティシズムの差異、感性の谷間にあって、微妙な扱いをされてしまう運命にあるのです。強いて言えば、特撮やらライダーやら男の子っぽい趣味を理解できる女子と、少女漫画だとか百合カルチャーなんぞを好む男子とが、かろうじて身を寄せあって共通圏に入るのですね。いろいろな要素をふんだんに盛り込んだ結果、一のなかに一より未満のものしか得られないという半端さが残り、各要素の最大公約数的な満足度しかない、という反省もあります。そこがマイナーながらも、根強い人気(?)を保っている秘訣なのかもしれません。あきらかに、ロボットじゃなくて、作品内の「とある事件」のおかげで話題になっているようにも思うけど…(爆)。
神無月の巫女精察─かそけきロボット、愛に準ずべし─(目次)
アニメ「神無月の巫女」を、百合作品ではなく、あくまでロボット作品として考察してみよう、という企画。お蔵入りになった記事の在庫一掃セールです。
【アニメ「神無月の巫女」レヴュー一覧】
私が定義したのではなく、そのようにカテゴライズされている(…はずですよね?←なんとなく不安形)のですが、もういちど強調しておきます。しかし、それは、あくまでカッコつきのロボットアニメなのです。ロボットアニメを背景にして並ぶ美少女ふたり。そんな構図を見れば、あなたはそのヒロイン二名がロボットの搭乗者となって果敢に戦うアニメ。疑いもなく、そう思われることでしょう。
しかし、しかし、だがしかし。
おかしなことに、このアニメの特異点はそこには置かれていません。現実に女の子がロボットに乗るアニメというのは、もはや珍しくもなんともないのです。たとえば、有名な「エヴァンゲリヲン」しかり。また「魔法騎士レイアース」しかり。あと、やや古いけれど「トップを狙え」など。「レイアース」は原作が女性漫画家集団CLAMPだけに、魔法少女ものの系譜にロボットを持ちこんだはじめての例かもしれませんね。私が観てないだけで、他にもあるかもしれませんね。あったら、ぜひとも教えていただきたいものです。
厳密に言うと、「神無月の巫女」は、女の子がロボットを操縦するアクションアニメではないのです。最終的にロボットに乗らないわけではないのですが、操縦しているという感じではありません。この作品、あけすけに申せば、「女の子がロボットで戦い勝利するアニメ」ではなく、「女の子がロボットにさんざん振り回されるアニメ」なのですね。(そういえば、魔法少女ものなのに、主人公だけがなかなか変身しないアニメもありましたよね…。本作のヒロインとあるキャラが酷似してるって言われてますけど、そうだろうか…)
くりかえしますが、この女の子が「ロボットに翻弄される」という部分が、かなりのポイントなのです。なにがポイントかと言えば、ロボットが出てくるアニメでありながら、かわいい美少女がロボットに悩まされる、というのが話の軸になってしまっているがために、このアニメは百合のアニメ、恋愛アニメなのだからして、ロボットはお邪魔虫! 恋路を隔てる障害なので要らない! という、たいへんシビアな声が多くなっているところなのです。いやいや、もちろん、ロボットアニメとしてもそこそこ評価はされていて、スーパーロボット大戦なるものに参戦してほしいという声も、いまだなきにしもあらず。そもそも、このアニメの監督さん、および、原作者の漫画家先生がたが往年のロボットアニメに感化された世代らしいので、制作者の趣味がいかんなく発揮されたカテゴリーでもあります。が、しかし。男性ファンなら一挙両得なのですが、女性ファンは見解が分かれてしまうかもしれませんね。はい、正直に申し上げますと、実際問題、私もロボットパートに退屈して、とうしょは思いっきりDVDを高速早送りで観てました(殴)。おそらく、この作品を愛している百合目当てファンの大半はそうだと思われます。だって、ロボットアクションにおける機智とか、戦略とか、駆け引きとか、そういうものはいささかも描かれていないんですもの。ここのロボパートってね、いわば、時代劇のチャンバラシーンみたいなものなんです。天に代わって悪を成敗!の掛け声で、ぜったいに主人公が負けたりなんかしない、あのお約束の。
おそらくアニメ制作にあたっては、このロボットバトルシーンがいちばん技術的に難しく、スタッフにおいてもかなりのこだわりがあったものと見られます。そこを視聴者にきれいにすっ飛ばされたんじゃ、たまらないというものですね。白状します、私はあきらかに製作陣に不義理なファンであること間違いなしでしょう。
「神無月の巫女」という作品は、このように男女の求めるロマンティシズムの差異、感性の谷間にあって、微妙な扱いをされてしまう運命にあるのです。強いて言えば、特撮やらライダーやら男の子っぽい趣味を理解できる女子と、少女漫画だとか百合カルチャーなんぞを好む男子とが、かろうじて身を寄せあって共通圏に入るのですね。いろいろな要素をふんだんに盛り込んだ結果、一のなかに一より未満のものしか得られないという半端さが残り、各要素の最大公約数的な満足度しかない、という反省もあります。そこがマイナーながらも、根強い人気(?)を保っている秘訣なのかもしれません。あきらかに、ロボットじゃなくて、作品内の「とある事件」のおかげで話題になっているようにも思うけど…(爆)。
神無月の巫女精察─かそけきロボット、愛に準ずべし─(目次)
アニメ「神無月の巫女」を、百合作品ではなく、あくまでロボット作品として考察してみよう、という企画。お蔵入りになった記事の在庫一掃セールです。
【アニメ「神無月の巫女」レヴュー一覧】