前々回、キャラクターの身長比較がありました。
それにあわせて、このロボットのスケールについても触れておきます。
アニメ本編ではいささかわかりづらいですが、どれくらいの丈があると思われますか?
第一話の最終カットで、ソウマロボと姫千歌が同一画面に収まっている構図があります。
あまりにも、あまりにも、この作品の人間関係を象徴する図として有名なあの場面。しかし、ずいぶんとロボットは大きく描かれております。画面上では大きく、高く、広く、じつに雄々しく描かれていますが、回を追うごとに、視聴者のなかではロボットの占める割合が減ってしまうのが悲しいところ。だって図体でかくても、喋らなければドラマツルギーになりっこないわけでして。巫女とロボット、最終的に存在感が逆転するわけですが(笑)、ま、それはおいといて。

資料集の中に人間との比較図がありまして、人間がロボットの足の甲ぐらいの高さ。
紙面上ではヒトが0.7センチに対してロボットは13.5センチとほぼ20倍。ソウマ少年の175センチを基準とすれば、およそ34メートルほどになります。奈良の大仏が18メートルですが、立ち上がったら30メートルにはあると言われてますね。初代ゴジラが50メートルだったのでそれよりは低く、初代ウルトラマンが40メートルなのでもう少しで届くぐらい。生物史上の巨大生物であるところのティラノサウルスがせいぜい13メートルでしたので、現代に恐竜がいたら、ソウマロボなら余裕で闘えますね。「俺にできることはせいぜい地球を救うことぐらいだけど」のアニメ界随一のヒーロー・大神ソウマくんなら戦ってくれそう(めっちゃ他力本願です)。サイズ的にはウルトラマンには敵いませんが、なにせ、3分以上は戦えますので有利でしょう。ゴジラは空飛ばないから、空中攻撃なら勝機ありそう。北朝鮮もイスラムもへっちゃらですわ(嘘)。

この30メートル台半ばという数字、ちょっと低いのでは?
…と思ったのは、他の特撮だとかロボットアニメではもっと巨大な物体があるからですね(架空巨大物体の高さ比較参照)。本作でのロボットは人間を手のひらで掴めるくらいという演出が必要なので、あのぐらいの大きさに落ち着いたのかもしれません。たしか、タケノヤミカズチが姫宮邸に出現したときに、屋根とほぼ同じくらいの高さだったような。
ただし、上の人間基準の比較図で参照されているのは、あくまでもタケノヤミカズチ。
ネココ機とかレーコ機とかは四肢がないものなのでかなり低そう。いっぽう、剣神アメノムラクモは頭部がかなり高いですし、アニメ本編では、さらにそれを上回っていたのが合体オロチ神。ムラクモ対戦では、子どもと大人が相撲とってるようにみえたぐらい。まちがいなく作中最大ロボはこのオロチ神ですね。その大きさは?
で、これもちゃんと資料集のなかで対比率があります。
アメノムラクモはソウマロボのほぼ1・5倍なので、その全長およそ51メートル。合体オロチ神はすくなくともソウマロボの2倍の高さはあるので、70メートル以上はあるのではないでしょうか。太陽の塔を超えるぐらいですかね。合体オロチ神ですと、ゴジラにも難なく勝てそうですね。ウルトラマンの怪獣なんかとも互角に渡り合えそう。そもそも、ソウマロボ級のオロチロボが八体も合体してできたものなので、大きさが倍以上になってもあたりまえなわけですが。でも、こんなバカでかいのにメイン攻撃、噛みつきでしたよね。スペックが無駄…。しかも、中の人、水瓶座のカミュだし(どうでもいい)。
ところで、この合体オロチさん(正式名・邪神ヤマタノオロチ)なんですけども、巨大化して禍々しい成りをしたわりには、けっこうね、あっさりばっさりさっくりと始末されますよね。アニメでも漫画版でも、中盤で千歌音の叛乱でソウマ以外のオロチ衆が一掃されたことで粉砕されるのですが、復活して合体した姿。アニメでは合体した時に、赤子のような姿が浮かんでいましたが、ひょっとすると、別にオロチ衆とかいようがいまいが、勝手に暴れるものだったりするのか。というか、あの赤子が登場しなかった八の首の搭乗者なのか。そもそも今回は巫女の歴史上のイレギュラーで七の首が反逆したため、七の首の機体、すなわちタケノヤミカズチは搭乗者がいない、というか、千歌音がのっとってしまったので、あれ、たぶん、かなり不十分な合体だったわけですよね。アメノムラクモに巫女がひとりしか乗っていないのも不十分なわけだけども、それとフェアになってはいるんでしょうか。過去の歴史上、どういう戦闘のいきさつがあったのか興味深いですね。
なお、原作コミックス一巻の巻末にも、ソウマロボと人体との比較図があります。これによれば、ヒトの高さの約10倍。ということは厳島神社の大鳥居を超えるぐらいで、ガンダムシリーズのロボと並びますよね。原作キャラのほうが頭身も低いですし、漫画のなかで巨体を動かすのは難しいのでやや小ぶりにしたのではないだろうか、と思われます。
このオロチロボが破壊工作をしたのは、作中では物語舞台となる天火明村周辺らしいです。
東京で暴れてたら、もうパニックになるし、首都機能潰滅ですね。終盤ですと、地球そのものをあっさり滅ぼしてしまう描写はあるのですが、この世界を潰したということそのものよりもですね、アニメでは姫子と千歌音のなかにある絶望を抉りだすほうが大きくなってくるわけです。
現実問題として、30メートル超えのロボットに襲われたらどうなるか。
作中では航空自衛隊の戦闘機があっさりと壊されていましたし、オロチ衆最弱っぽいネココ機にさえ「お山がぽーん」で軍港すら潰されてましたっけ。おもちゃをいじるごとく街を壊す。なので、やはり,現段階の国内の軍事力では勝てないのかもしれないですねえ。世界中からありとあらゆる戦闘機やらで爆撃一斉攻撃すりゃなんとかなるのかもしれませんが。あれって、核兵器も通じないような気がしますけど。でも、人間、それも限られた者が動かさなきゃはじまらないのであれば、たちまち脆弱になりそう。架空の世界の巨大生物に対抗するのは、たいがい、それに等しい巨大な力と決まってまして。それはけっきょく、ウルトラマンと怪獣のように、生身の人間の四つ組みあいのガチバトルを大きく見せているに過ぎない。
巨大ロボットが現実界で戦争に加担するという可能性は、おそらく今後とも無きに等しいでしょう。
なぜならば、現実の軍事では、すでに無人化、離人化した兵器が進みつつあるからです。みずからは安全圏にいて、遠隔地を攻撃するというスタンスができています。一対一で闘うというスポーツのようなロボット戦が現実になる怖れはないでしょう。ガンダムだの、鉄人28号だのの戦闘ロボットのモニュメントが日本各地で建てられ、神像のように崇められたからといって、日本はべつだん軍事力を賞美しているわけではないのです。だって、ロボットバトルはあくまで文化でスポーツなんですからね。ですから、ロボット戦闘ものアニメなんかを熱心に見ている男の子がいたら、リアルとバーチャルの区別がつかなくて、イスラムの戦場なんかに憧れて云々かんぬん──という単純化されたオピニオンも退けることができそうですが、これについては長くなりそうなので、いまは答えません。戦争と戦闘って違いますよね。武器ももたないうちから、戦意も確認しもしないでの無駄死が多いのが前者ですから。
現代にあんなものが本気で登場したら、ネット上で大騒ぎで、リツイートされまくりで、海外のニュースのトップを飾って、またまた怪奇の国ジャパンなる噂が広まってしまいそうです。
ロボットの全高については数値が確定されていないので、あくまで推測の域を出ないものです。
だいたい、大きさはお分かりいただけたでしょうか。
あんなものと戦えって言われたら、そりゃ、姫子でなくとも卒倒しますよね。
しかも戦力になるはずのムラクモさんは遅刻魔だし。ソウマもそうですが、あれを乗りこなせる他のメンバーも,並の根性ではなかろうに。高所恐怖症だとまず無理ですよね。飛行機ほど乗り心地よくないように思うし、コクピットで立ちっ放しでしたよね。けっこう重労働なのでは。気圧も重そう。よくF1レーサーは虫歯が割れると聞きますが、宇宙飛行士ぐらいのタフさは必要かも。とくに複雑な操縦術は要らなさそうだとすると、精神力などで動かしているってことでしょうか。そして、この巨大ロボットの圧倒的な武力と、姫宮千歌音の懊悩とは、まさに比例していくのですね。
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