神無月の巫女の原画集などについてはすでにお話ししたので、最後に残った設定資料集について。
正確には「神無月の巫女 キャラクター＆メカ設定資料集（完全版）」ですね。こちらは製作会社の株式会社TNKの公式ホームページによれば、まだ入手可能なようです。
アニメーションって基本動くわけですし、そもそも複数人が描いてますから画風が安定しないし、細かく見届けられないこともある。二次創作のための資料も欲しい。そんなファンの声に応えるためなのか、発売されるのが設定資料集。ファンサービスのみならず、製作陣にとっては仕事の成果を残す機会でもありますね。
ここ十年あたりの公式に発売された資料集で持ち合わせているのは、「少女革命ウテナ」と「魔法少女リリカルなのは」のみでした。人気アニメになるとかならず製本で出版されるのですが、こちらの「神無月の巫女 キャラクター＆メカ設定資料集（完全版）」は、出版物ではありません。原画集のように同人誌のような印刷だから、じゃなくて、これは本というより、なんだろう…とにかく糸で綴じていないタイプです。おそらくコピー紙をテープで綴じたもの。…と書くと、ちゃちく聞こえるのが、なかなか大部なものですよ。設定資料がほぼ原寸大なのではなかろうかと思う。
本旨料の構成は、最初数頁にまとめてコメントがあり、ナンバリングで後続するラフスケッチ（業界用語がわからないので、適当にラフ画とかなんとか呼んでますが）に照応させています。文章と絵が分離していますので、コメントが絵の勢いをじゃますることはないですね。余談ですけど、原画集のほうはおそらく原作者の漫画家の介錯先生ズが編集なさったもので。こちらはひごろ、絵に台詞を入れることがないアニメーターによるもの。その仕事の属性の違いが出ているように感じます。（ただしラフ画のほうにも指示書きとしての文字はあります）
このコメントも絵も、キャラクターデザインで作画監督の藤井まきさん担当です。
総監督の柳沢テツヤさんとはご夫妻であるのでアニメの制作を共にされることが多いのも特徴ですけど、どっちかっていいますとラノベ系が多いのかも。で、この人のコメントがなかなか笑えます。アニメ業界ってたぶん独特な、常人が思いつかないようなセンスでなりたってる現場だと思うわけですが、こういうこと考えながら描いていたのか、というのがよくわかります（一例：ソウマの悪魔顔アップを描いて楽しかった、とか（笑））。もちろん真剣な意味でも。
この設定資料といいますのは、正式なタブロー（完成された絵画）に対するエスキース（下描き）のようなものですが、たったワンクール12話のアニメーションを制作するのでも、いろいろ準備があるものだな、と気づかされます。アニメーションを流し見るだけではわからない、さまざまな分析ができそうなのも、その使い道。ですので、今回はこの設定資料集をテキストとしまして、考察しておきたいと思います。
ところで、この設定資料集が届いたときに驚いたのは、その形態ではなくてですね、まさに、この表紙でした。
これご覧になった方、ドキッとしませんでしたか？
しますよね？
なぜって…。
千歌音ちゃんが
姫子の生首を風呂敷に包んでるから！！
（盛大な勘違い）
私めがまずもって思い浮かべたのは、ビアズリーの『サロメ』。
（画像を載せようと思ったのですが、けっこうグロいので、気になる方はググってみて下さいまし）
似てますよね？
ちょっと苦しいか、これは。
でも、愛情が狂気って部分は重なってるのかも…。
いや、ほんとはほんとに愛があるから傷つけてもいいってのは、駄目なんだけども。
まっとうに考えますと色めき立つ構図なのですが、なんだろう、洗い上がりの豆柴わんこを頬ずりしながらタオルドライしてるひと、…みたいな？ プレゼントの包み開けたら、お宝出てきましたよ、みたいな？ なんか千歌音ちゃんのいつにないドヤァ顔が気になりますよね。八話から十一話あたりまえの表情ですよね…すごく楽しそう（笑） 妄想がずいぶんはかどります。
次回からは真面目に考察します、たぶん。
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