私が拙ブログで二次創作小説をはじめた当時は、まだ個人サイト全盛期。
そして、無料の掲示板などでもSS(サイドストーリー)が投下されていたりもしました。かなりえぐい内容もありましたが、匿名だし、現在のSNSのように双方向性もなく、コメントも強要されないので、読者として見る分にはかなり楽しかったものです。
近年の、集団的な二次創作小説の発表場としてはピクシブや専門の投稿サイトなどがあるようです。ゼロ年代には、まだケータイ小説が発表できる場所もありました。現在でもネット上で見られたりもします。
ところで、数年前、とあるSNS上で、昔の無料掲示板にあるSSは好きではないという発言を見かけました。その発言者さんはピクシブで活躍されている字書きさんだったようです。ピクシブは18禁ものを区分けできるし、ハッシュタグもあるので、意図的に自分の嗜好に応じた作品をえり分けできるわけです。そうした二次創作文化に若い頃から慣れていれば、有象無象のかつてのSSスレッドが気味が悪く思うのも、致し方ないのかもしれませんね。
私のお好み作品はジャンル人口がとても狭いのか、参加者が少ないので、この10数年でほぼほとんどのものは私は見たことがあるのではないかと自負しています。
ちなみに、私は絵でもそうなのですが、原則的に怖いもの見たさもあってか、間口を広くしています。
百合も、BLも、NLも、近親相姦も、エログロナンセンスも、カップルの受け攻め逆転も、なんでもござれ、なのです。自分の二次創作もある意味そうだと思っているので、たとえば、純度の高い百合だと期待していたのに、男を出しやがって、この葉っぱめバカヤローと思われているかもしれません。
原作ジャンルがもともと少年漫画でエロ要素もあったのに、二次創作になるとあのカップルでないとダメやら、そのカップル以外の雑種が混ざるのはダメとか、二次創作者というものは、自分の創作傾向がいつのまにか公式であるかのように勘違いしやすいのかもしれません。これでは原作者やほかの二次創作者も窮屈ですね。
百合もので特に嫌悪されるのは、モブの無名の男に手籠めにされるパターン。BLだと頼んでもいないのに、当て馬の彼女が登場するパターンでしょうか。私は節操なしなので、これらも普通に読めます。ただ、濡れ場のシーンはかなり定型化されているので飛ばし読みになってしまうのかもしれませんね。色艶ものは私も書いたことがありますし、正直かなり楽しいのですが、頭にドーパミンが出たあとのものを、賢者タイムで確認するとかなりキツイのが悩みどころです。
それにしても、二次創作界隈においては、特定ジャンル専門であれもこれも手掛けるよりは、特定のカラーや性癖を売り物にしておいて、旬のジャンルを渡り歩くほうが、評価があがっていくのかもしれませんね。あのひとは、キャラは違うけれど、かならず、私の読みたいものを届けてくれる、という作者と読者のあいだの黙契がいつのまにかできあがってしまうこともありうるのです。
ただ、プロの商業作品でもいえるのですが、読者さんがかってにこの人は百合専門だと思っていたのに、百合を描かない! 百合カップルを男とくっつけた、許せない!と嘆くのは、いかがなものかなと思います。もし、そんなことを言っていたら、作家は書きたいものが自由に書けないし、新しい作風に挑戦もできず、ずっと同じものばかり描いて人気が去ったころには、その有名作しか残らなくなってしまいますね。
SNSでファンの声がかなり大きくマーケットを左右する当節、手塚治虫や藤子不二雄が生きていていたら、それはそれはもう描きにくかったことでしょうね。
(2020/10/22)